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タバコ

ニコチンのメカニズム

タバコにはニコチンが含まれておりニコチンによってタバコが常習化する事はよく知られています。このニコチンの正体は何なのか、私達の体の中どのようにで作用しているのかを一緒に勉強していきましょう。

ニコチン依存症の仕組み

朝起きての一服や食後の一服、仕事終わりの一服はきっと喫煙者にとって至福の一時に違いない。今まで散々タバコは不味い物だと書いてきたが、私も喫煙者だった頃はタバコが美味いと思っていたしタバコに幸せを感じていた。常習化した喫煙者がタバコを美味しいと感じるのはニコチンが主な原因だ。別のページでも少し触れたがニコチンが脳内に届くとドーパミンという神経伝達物質が放出され報酬感や達成感のような感覚を覚える。もしニコチンがこれだけの作用しかなければ、つまり一時的な快楽を与えてくれるだけの物質だとしたらタバコは何の知識も努力も必要無く容易に止める事が出来るし、そもそも世界中で大流行したりはしなかった筈だ。しかしこのような物質を使って不自然的に快楽を得る行為は総じてリスクが付き物だ。

ニコチンのやっかいな問題は常習的に摂取し続けると脳の本来の働きが悪くなり神経伝達が低下した状態になると言われている。この神経伝達が低下した状態とは不安感やイライラ感、憂鬱といった症状として現れるが、ニコチンを摂取して神経伝達物質のドーパミンを脳内で放出する事でこれらを解消する事が出来る。しかしタバコによるニコチン摂取では30分ほどで効果が消え、約1時間後には再び神経伝達の低下により不安感やイライラ感、憂鬱を感じ始める。そしてそれらのストレスを解消する為にタバコを吸うという負のループから抜け出せなくなる状態がニコチン依存症だ。

とある実験では喫煙者と非喫煙者に対して同じ報酬を与えた場合の脳波を測定すると喫煙者の方が圧倒的に反応が小さい傾向にあるそうだ。つまり喫煙者はタバコのニコチンで強制的にドーパミンを放出させ続けてきた事で脳を弱らせてしまい、非喫煙者が日常的に感じているような喜びや達成感を殆ど感じていない、または喜びに鈍くなってしまっている。そして驚く事に喫煙者はお金への興味やお金を得た時の喜びも非喫煙者より小さいという研究結果もある。自分はタバコぐらいしか楽しみが無いとかタバコだけが唯一の趣味なのだから好きにさせてくれとは喫煙者からよく聞くセリフだが、タバコを吸い続ければ、つまりはニコチンを摂取し続ければタバコ以外に興味も楽しみも湧かなくなってくるのは必然だったのだ。

ここまで読んで納得いかない人も沢山いると思う。人生を謳歌している喫煙者は一杯いるし自分もタバコ以外の生き甲斐がちゃんとあり幸せだと。もちろんその通りだ。喫煙者か非喫煙者かだけで人生の価値が決まる訳がない。極端な例を出すとハンサムでスポーツも仕事もでき、大金持ちの喫煙者と何の取り柄もない貧乏な非喫煙者なら前者の方が多くの幸せを感じながら生きていると想像出来る。いや、きっとそうに違いない。しかし同じような境遇の場合、喫煙者と非喫煙者ならどっちが幸せを感じて生きているだろうか。ここまで読んできた人なら答えは明白だ。確かに人生で多くの報酬(ここで言う報酬はお金だけに限らず快楽に繋がるもの全般)を得られている人は喫煙者でも幸せを多く感じて生きているだろう。しかし同じ程度の報酬を前にすれば十中八九、非喫煙者の方が喜びや幸福感は大きいのだ。その幸福感の差は報酬を得た時だけとは限らない。朝起きた時の清々しさや朝食の美味しさ、日差しや風の気持ち良さ、何気ない日常に幸福感の違いを体感出来るのだが、これは貴方が禁煙した時に初めて気付く事が出来るだろう。

ニコチンがもたらす快楽

ある仮説によると人間の最高の快感は性行為でも食でも偉業の達成の瞬間でも無く痒みを極限まで我慢してかく事だという面白い話を聞いた事がある。これが本当に人間最高の快感かは別として、不快な感覚や気分を長く経験してから一気に取り除くとかなりの快感なのは間違いない。このような快感は日常的に多くの人が経験している事だがトイレ、特に大便を長く我慢してから排泄した時は人生最高の幸せの瞬間だと錯覚するほどの快感を覚えるし、真夏の炎天下の中で喉がカラカラに乾いている時に飲む水は例えカルキ臭い水道水でも世界で最も美味しい水だと錯覚する。

少し遠回りな話になったがなるほど、タバコが美味いと感じるメカニズムがようやく分かった。喫煙者は1日の内の殆どを不快な気持ちで過ごしている。上の方でも書いたが世の中への興味や報酬に対する喜び、達成感が非喫煙者に比べて圧倒的に薄いのだ。公共交通機関では喫煙を禁止され増え続ける禁煙施設にイラつきながらも、やっとこさ吸う事が出来たタバコ、やっとこさストレスを解放してくれるタバコ、数少ない喜びを与えてくれるタバコは格別に美味いと感じる訳だ。朝起きての一服が美味いと感じるのは久しぶりに体内に入ってきたニコチンがドーパミンは放出してくれるからだ。食後や仕事終わりの一服はまた別の人間心理や別のメカニズムによるものだと思うが、大体タバコが美味いと感じる時はニコチン切れで不快な時間を長く過ごしてからの一服だ。そしてタバコが中々止められない原因は我慢すればするほどタバコ、並びにニコチンが美味しくなっていく事を喫煙者はよく知っているからなんだね。

ニコチン依存症はまるで麻薬中毒者だ

私は喫煙者に対して大袈裟な事を言って脅すのは全く無意味な事だと知っている。例えばタバコの吸い過ぎで脳卒中や肺癌、肺気腫、気管支炎、その他諸々病気の原因になると言っても自分は例外だと思いこんでいるからだ。そして私のようにタバコで恐怖を味わってようやく本気で禁煙したいと考え出す。いや、今まで禁煙しようと思った事は何度かあったし実際に禁煙に挑戦したじゃないか。そして失敗して自分には禁煙は無理だと諦めた。

そもそも私が昔挑戦して失敗した禁煙の動機はお金だった。まるで煙になって消えていくかのようにお金が無くなっていったのだから、どんなにタバコを好きだと思っていても買う金が無ければ止める他ないのだ。しかし私はタバコが止められなかった。せめて1日1箱吸えるようにお金を工面した。生活の最優先順位のトップは常にタバコだった。美味しい物を食べる事よりもタバコが優先、何十巻も集めて読んだ漫画本を売ってタバコを買い深夜のアルバイト代も全てタバコに消えた。いつの間にかタバコの量が増えて、たった何百円かのタバコが買えずに困った時は灰皿の中の吸殻を漁って少し長めの吸えそうな吸殻を何本か選んで吸った。所謂シケモクだ。

今になって思い起こすと私はずっと病気だった。若い頃から最近までずっとタバコに憑りつかれていた麻薬中毒者のようだ。20代後半辺りで仕事が上手くいくようになり金回りが良くなってタバコ代の心配をする必要が無くなった事はタバコを吸い始めたきっかけのページで書いたが、ジワリジワリと少しずつ上がり続けていたタバコの販売額が2010年に急激に上がったのには流石にショックだった。当時吸っていたマイルドセブン(現メビウス MEVIUS)は1箱300円から410円に上がり2015年現在は430円だ。当時の私は民主党政権を深く恨んだが、今になって思うとそれがきっかけで禁煙した人や量を控えるようになった人が大勢いたのだからタバコの大幅な値上げは民主党政権時代の唯一の功績かもしれない。

金には困っていないと強がっても1日2箱か3箱は吸うのだから安い訳が無い。仮に1日50本吸っていたとして当時の価格で計算すると日に1,025円消費していた事になる。月が30日なら30,750円、年間では374,125円をタバコに消費している。現役の喫煙者なら心のどこかで無駄金だと認めつつも全然大した額じゃないと反論するだろう。確かにそうだ、今の時代は娯楽は多いが何をするにも金が掛かる。タバコが至高の娯楽である愛煙家にとって、たかが年間30万や40万は安いものじゃないか。

自分は元々ちょっとしか吸っていないとか、その気になれば1日1箱に抑えられるとか、私も若い頃にお世話になった貧乏人ご用達タバコのエコー(echo)やわかばがあるから大丈夫だとか考えているかもしれない。しかし今一度考え直してほしい。この先、喫煙者にはあまり良い未来が待っていないのは予知能力が無くても簡単に想像出来る筈だ。タバコの価格はこの先も上がり続ける可能性が高く、社会のタバコへの風当たりの強さから少し前まで現実感がわかなかった1箱1,000円だって十分にありえる勢いだ。昔、友達との会話で1箱1,000円までなら吸い続けるし絶対止めないと話していたのを懐かしく想うが、このままニコチン依存症という名の麻薬中毒者であり続ければいいように金を搾り取られ続けるだけだ。

正直になろう。タバコが好きだから大金を払って買っているのではなく止められないから買っているのだと。本当は止めたい、5年後、10年後、1箱1,000円のタバコをチマチマと吸い続ける自分を想像したくない、タバコを吸ってなかったらアレもコレも買えたのに、このまま一生タバコの奴隷として生きていくのは嫌だ。

いや無理、タバコだけは絶対無理、麻薬中毒者が簡単に麻薬を止められるものかと貴方は思っているかもしれませんがこれは誤解です。今はまだ焦る必要はありません。タバコを吸いながら次は依存症や禁断症状について勉強していきましょう。

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